*とつげき東北 [#z0e5ded3]
  議論において、特段それによって新しい知識や共通の理解が得られるでもない、よく知られた事実や当たり前の話、または正しいと広く信じられている話、正誤判断ができないために保留されざるを得ない話題等を、長々と(それも退屈な表現で)記述するという、大衆伝来の秘儀。
  秘伝のレシピによると、場合によってはその長文中に、あるいはそれに続けて、自分の信念を紛れ込ませるのがポイントだとか。
 
  この秘法を用いることによる効果は以下のとおりである。
 
 当たり前だが「正しい」ことを書くことで、「この人は正しいことが言える人だ」と印象づけ、信頼感を与える 
 「正しい」ことには反論できないので、まるでその議論の場において周囲と渡り合っているかのように見せられる 
 文章を長くすることで、論旨を拡散させる 
 正しいが長くてつまらない文章の中に「自分の信念」を混ぜることで、誤った主張を正しいものの一部であるかのように書き込める 
 
  これらの効用を過小評価してはならない。無知な人が、「正しいが当たり前のこと(無償の真理)を垂れ流す」ことをせずに、本気で「議論を戦わせれば」、知識があって頭の良い人間には一瞬で敗北する。少し危うくなれば、本題とほとんど無関係であるような「無償の真理」をばら撒いて話題をそらすことは、延命措置としては充分に機能するのである。うやむやのうちに逃げることもできる。
 
  Yahoo掲示板等、匿名性が相対的に低く、個々人が発言する空間が広く与えられる環境・文化を持つ場所でよく見られる。これは、発言者の「信頼性」を高める効果がより発揮されるからであろう。
 
  まずは「簡潔な」一つの文章を見てみよう。
 
 「人を殺してはいけないのは当然です。絶対に許せません。戦争中は、人(敵)を平気で殺していましたが、それはあくまでも戦争という特殊な状況にあったからです。」
 
  小学生向けの文章としては100点、中学生向けなら最近の「学力低下」も加味して70点を与えたいところだが、「思考」の文章としては得点を与えられない。
 
 「人を殺してはいけない」が何に基づくかがわからず、「当然」であると断じている。このような文章を書く以上、「人を殺してはいけないのはなぜか」「人を殺すことは悪いことか」といった論題があるのだろうから、それに対して「当然です」は論理の言葉ではない。 
 「絶対に許せない」というのは個人の感情の告白であり、論理的な意味は持たない。 
 「戦争中は、人(敵)を平気で殺していた」は、「平気で」の意味合い等によるが、明白な事実か誤謬かそのどちらも含むかのいずれかであり、要するに無意味である。戦争中もやはり敵を殺すときに怖気づいたような人もいるかもしれないが、いずれにせよどうでもよろしい。 
 「戦争という特殊な状況にあったことが理由で→人を平気で殺した」という「命題」が初めて登場する。では戦争という「特殊な状況」とやら以外で人を平気で殺す場合は想像できないだろうか? もちろんできる。反例がいくつでも出せる。「特殊な状況」の定義次第でこの命題は真にも偽にも容易に変えられる(人を殺すような状況は、そもそも特殊な状況なのだ、などと言い張って循環論法に陥る人さえいる)。 
 この文章は「仮説」として興味深くもなければ、これによって何かを説明できもしない。ガラクタなのである(仮に命題等に反例がいくつかあっても、仮説によって色々な物事が今までよりもうまく説明できる、というなら「思考」の文章としての価値はある)。 
 
  このような「論理的に意味をなさない文章」の骨格に、周辺知識をごちゃ混ぜにしてゆくと、Yahoo掲示板的な「語り手」が完成する。
  先ほどの文章に、適当に肉付けしてみよう。
 
 「人を殺してはいけないのは当然です。私は絶対に許せませんし、許せると思う人には理由を聞いてみたいものです。戦時には、人(敵)を平気で殺す場面がありましたし、新聞などのメディアもそれを礼賛していました。太平洋戦争では様々な悲劇が起こりました。バターン半島での死の行進、バンザイ・クリフ、アッツ島玉砕、そして誰もが知る特攻隊、原爆投下……etc.私たちが知っているよりも多くの殺人があったに違いありません。メディアは、「玉砕」つまり「全滅」を美談として書き立てました。しかしこうしたことが起き、許されたのは、あくまでも人々が戦争という特殊な状況に置かれていたからなのではないでしょうか。」
 
  このようにして、スカスカの空論ができあがるわけである。
  結局は最初の0点の文章と何ら変化していない。聴衆によっては、「死の行進」だとか「バンザイ・クリフ」などといった言葉を知らないだろうから、知識を享受するという意味で2点くらい与えてもいいが、論理の文章としては赤点である。
  しかしこうした空論の何と多いことか。
 
  空論を暴くには、これと逆の過程で「論理の骨格」を取り出していけばよい。
  つまり「要約する」という作業を行なうのである。
  パターンとして、何も残らない場合と、瑣末な命題が残る場合と、本人の誤った信念が残る場合とがある。その組み合わせもある。
 
  以下、例を示そう。
 「卑怯」について語っていた際のある発言である。
 
 『
 「卑怯」じゃない勝者がどこにいるんだい。
  歴史上、勝者といわれてる奴はみんな卑怯なことしてるぜ。
  アメリカはインディアンを追放して、「This land is my land」と歌ってるじゃないか。ゼロから自分たちで構築して勝ち取れるものなんて、そうあるもんか。 
  ビルゲイツは3500億円以上を寄付するらしいが、未だに基本ソフトを独占禁止法に触れながら売りさばいてる。
 「弱者を救済して感謝されたい」という欲を満たしたいからじゃないのか。 あれだけ稼いで、まだofficeを数万円で売る連中だからね。 卑怯そのものだよ。
 麻雀も、いろんなことを教えてくれる。
  ツキが絶頂にある奴とは勝負を極力避ける。逆に、ツキに見放された奴を狙って仕掛けていく奴が勝つんじゃないのか。
  そもそも、祖先が卑怯じゃなかったら、子孫を残せてないよ。 卑怯な奴が子供を残せて、そういうDNAが跋扈してる世界なんだからさ。
 』
 
 要約すると、
 『
  勝者はみな卑怯である。
  ビルゲイツは独占禁止法に触れながらソフトを売っており、卑怯そのものである。
  麻雀では「ツキがない人を狙う」人が勝つ。
 』
 となるだろうか。
 
 
 「勝者はみな卑怯」は、卑怯という用語の解釈等によって好きなように真偽を入れ替えることができる。「卑怯」の用法を彼に問うと、「興味はない、辞書で調べろ」とのことであった。「気が弱く意気地がないこと。」(三省堂提供「大辞林 第二版」より)に従えば、「勝者はみな卑怯」ではないどころか、逆の傾向さえあるのではないかと思わせる。また、「勝者はみな卑怯」という仮説は、新しい事実を何一つ示さない。つまりこれは空論である。 
 ビルゲイツが卑怯かどうかは、彼が「気が弱く意気地がない」かどうかによるだろうが、正誤判断ができないし無意味である。 
 『麻雀では「ツキがない人を狙う」人が勝つ』は、ありがちな霊魂崇拝主義的な誤謬(あるいは高校で学ぶ確率・統計概念の無知)である。 
 
  つまり、空論と瑣末な命題、それから彼の誤謬だけが残ってしまったのである。
 
  こういった無意味長文の方法に対しては、要約することによって相手の「主張」の空虚さを示すことが有効である。ときおり、本人が「当然正しい」と思って記述していることが、丸々ある種の無知に基づいた誤解である場合もある。
  長文の中にそれとなく誤った主張を紛れ込ませる手合いに対しては、そのやり方の醜さをストレートに指摘するのも手だろう。
 
 →(議論テク)思考に慣れていないことの露呈
 
 #htmlinsert(google.txt)
 - 「卑怯」の例では、用法を聞かれた時に辞書をひけと返してしまったのが、何と言っても敗因でしょう。文化の違う人と意志疎通をするのに、ポイントとなっている言葉の自分なりの定義を表現するのは、重要なことだと思います。 -- [[月]] &new{2006-05-09 (火) 08:37:40};
 - 議論とか、あるいはこういった場において、いわゆる「論理の言葉」といいますか、真偽を問うための言葉ではない言葉、すなわち「文学的表現」を並べようとしてしまう、こなれなさのようなものが彼の敗因だったのかなと私は思います。 -- [[とつげき東北]] &new{2006-05-09 (火) 08:39:54};
 - 本当は、文学も、新しいことを何も言っていないような命題だけでは、作品として成立しないんじゃないか、とは思いますけどね。 -- [[月]] &new{2006-05-09 (火) 08:41:34};
 - ''[[真衣]]'' &new{2007-04-07 (土) 23:54:14};
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 - ''[[絢]]'' &new{2007-04-09 (月) 21:31:30};
 運命の出会いを求めるなら…
  
 - '''' &new{2007-04-09 (月) 22:08:48};
 運命を信じてる人がいったいどれほどいるのだろう?とか、運命を"求める"時点で言葉として破綻してね?とか取り合えず考えてしまうが…それは実はどうでも良くて、その運命に介入できるあなたはどれ程のランクに位置しているのだろう。そして本人がどう思っているのか。実はこれは少し興味がある。
  
 - ''[[田中]]'' &new{2007-04-11 (水) 16:47:01};
 ★楽々メルトモ作り★
  
 - ''[[加藤茶]]'' &new{2007-04-12 (木) 15:26:27};
 ★結婚相談ランキング★
  
 - ''[[い]]'' &new{2008-06-29 (日) 11:09:28};
 この長文てのは議論の時に凸さんが使ってるやつじゃん。このウィキはわかりやすいのに
  
 - ''[[とつげき東北]]'' &new{2008-06-29 (日) 11:33:57};
 >い
 私のは理屈を通したうえで、議論をエンターテイメント化することを目的として長文にしているわけであって、理屈が通らないから長文で薄める愚行とは異なる。
  
 - ''[[い]]'' &new{2008-06-29 (日) 18:06:08};
 失礼しました。いくつかの議論を読みました。中には無意味な長文と思えたり
 余計な比喩が多すぎて、却って主義・主張が不透明になってると感じたものも
 ありましたが、それらを先にいくつか読んだ為に、全部がこのような形式であると
 誤解してしまいました。
  
 - ''[[ここまで読んだよ]]'' &new{2009-10-30 (金) 22:48:22};
 >>議論をエンターテイメント化することを目的として長文にしている
 これは正しいだろう
 ~だから故に、読み手がこのエンターテイメント性に簡単に惑わされてはならないのである
  
 - ''[[Kanta]]'' &new{2017-01-14 (土) 00:49:24};
 主張を要約しその無意味さを説く。定義を明確にし、反証を例示する、あるいは、根拠を示し反駁すると良い。
  
 
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