とつげき東北

―計算どおりにはいかない

 人間や、人間の心理に対する神聖視の吐露。特に、数式等を用いて人間の行動が関わる現象を説明しようとした際に強く主張されがちな言葉。

 確かに人間の思考・心理等は極めて複雑な系であり、ミクロなレベルで解明することは困難を極める。一方で、人間や集団のある種の行動の様式等に関して、相応の知見を得ることもできるし、個々の局面では、人間の心理や思考の傾向性等から「計算どおりに」いく場合もある。

 行動経済学では、「なぜ雇用時に人種差別が起きるのか、なぜ白人と黒人が地区ごとに『住み分け』を行うのか」などの構造について、非常に単純なリバーシの駒を用いたモデル仮説(むろん実際の計算等は計算機を用いて行う)を立て、実際の行動実験によって示している。相手は人間であるにもかかわらず、たかだかリバーシの駒の単調な規則的動きで、その行動原理の大部分にかなり説得的な説明がついてしまうのである。

 もう一例挙げよう。

「もっとも簡単でシンプルな心理戦」であろうところの「2人対戦じゃんけん」ゲームを考える。相応にうまく相手の裏をかいていかなければ、結果はほとんど「運」で決まってしまうだろう。だが、子ども相手とはいえ、じゃんけんにおいて優秀な成績を残すプレイヤーが存在する。
 コンピュータプログラムである。
 そもそものモデル群は14通り存在し、
・前々回の結果を参照するか否か
・自分の手、相手の手、勝敗のうちどれに着目するか又はどれにも無関心か
・じゃんけんの手の対象性(グーとパーの関係と、チョキとグーの関係を同じと見なす)を仮定するか
の別により、AIC値が最小になるモデルを採択する。
「スタッツ」と名づけられたこのソフトは、日経新聞社主催の「21世紀夢の技術展」のイベント会場において、子ども相手に「30試合」1セットの対戦を行った。その結果(5万回近いじゃんけんを行っているとのことだ)、勝率は6割を超えた(※)。これは、統計学的に有意な「圧倒的実力差」である。1人あたりわずか30回のじゃんけんで、人間の心理のクセの一端が、コンピュータに把握されてしまうのだ。
 相手は人間だから統計は役立たない、数学ではない、といった全称命題は、少なくともこの例によって偽であると示される。

 では、相手が集団や子どもではなく、「立派なオトナ」だったらどうだろうか。
 相当複雑なゲームである麻雀において、筆者の開発したごく単純なプログラムが、参加した37名(一部中級者も含むが、大部分は上級者であり、プロも含む)のうちの誰よりも、相手の手牌を正しく把握し、山に残った牌を予測することに成功した事例がある。
 余談になるが、「麻雀は確率などではわからない。心理的な読みが麻雀の本質だ。とつげきは間違っている!」と息巻いて参加してきた方の成績は、参加者平均程度であった(コンピュータとの間で、偏差値にして10ポイント以上の差がついた)。

(※)石黒真木夫「現象を理解したいときのモデリング機廖福ESTRELA』2009年9月号掲載記事)より

  • ここまで読んだが 2009-10-17 (土) 04:55:48
    じゃんけんを一度に30回も連続で行うシチュエーションが他にもあれば有意義な内容だろう
    統計学的にも「30回連続じゃんけんを行って6割の勝率を残す」実力は確かにある
    だが、子供のじゃんけんは、せいぜい負け側に負け惜しみ追加されても5回勝負(3先勝)が関の山である
    そもそも命題がおかしい

    それと、麻雀のほうもたった37人の事例だけで全てがこうだと言い切るあたりも、あぁがんばってるんだなぁと失笑を誘う
    1千人ほどで検証してくれ
     

  • とつげき東北 2009-11-03 (火) 22:15:28
    和解したあと、「ここまで」のこのあたりの突っ込みを今読むと和むな。

    小学生の同級生同士で、30回以上のジャンケンを行うことはあるだろうし。
    特定個人の「3回勝負時のクセ」という観点でモデルを作れば、何かしら同じような結論を導けると期待できるしな。

    麻雀についても、もちろん「麻雀をする全ての人」からの「ランダムサンプリング」など無理に決まっていて(そもそも実験に協力しているという時点で「何らかの」偏りがある。例えば日本語が読めるとか。それはもう、圧倒的に日本ルールでの麻雀の強さと相関するはずだ)、そのあたりは棚上げして一つの結論を出すというのは大事な作業だからな。
    むろん、37名中トップであるということは、統計学的には有意な結論だ。
     

  • ここまで読んだよ 2009-11-03 (火) 23:29:15
    まぁ和解?した後でもこの手の誘導はいささか抵抗があるのは事実だな
    当時の事情では多少なりとも嫌悪だったが、今は別の事情を知っているので笑うだけなのだが・・・・


    ちなみに、俺がじゃんけんをするときは、目に飛び込んできた数字を元に初手を決めている
    3で割ったあまりが0ならグー、1ならチョキ、2ならパー
    時計の秒針が一番素材としては良い
    相手は俺が何を出すか絶対に判らないので、何出すか決めるといいながら腕時計や携帯時計を見るだけで相手は疑心暗鬼の表情を浮かべる時がある
    何かじゃんけん戦術でもあるのか、自己統計によっての裏づけがるのかどうかはこちらからは判らないが、それが意図も簡単に崩されたときのその顔を見るのが実に楽しい
    結果、負けて奢らされたとしても、満足である
     
  • とつげき東北 2009-11-04 (水) 06:25:51
    他人と結託したら、3人以上のジャンケンなら勝率上げれるよね。

    この「ジャンケン勝率上げ」の知見は、人生において大切だと思う。

    小学校時代の掃除当番とかそういうものからはじまり、研究室とか就職がジャンケンで決まる勝負で勝つために。
     

  • ぱんだ009 2012-06-04 (月) 02:32:28
    就職とか研究室がじゃんけんで決まるってどういう意味・・?
    詳しくお願いしやす。
     

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Last-modified: 2012-06-04 (月) 02:32:28 (2304d)