とつげき東北

 自らが話題に取り残されないことを目的として、話題の方向を教科書的なものから可能な限り引き離すために使う定型句。

 高校1年生の頃、筆者がビデオテープを持ち歩いた際に、少しふざけて頭上に放り投げては受け止める、という動作を繰り返していた。残念なことにその姿を、常日頃からいらいらし、他人のあらさがしばかりする母親に目撃されてしまった。「危ない! やめなさい!! あんたまた壊すでしょ!!」と連発し激昂するので、筆者も少々いらだち、「危なくないわ。このくらいの高さから落としても壊れへんわ」と反抗した。母親は「壊れる!」と言って聞かない。

 筆者はちょうど高校で物理のテスト前だったので、ふと、物理の知識を使って解けないものかと考えてみた。今になって思えば、じゅうたんのやわらかさ等について大した情報もなく、回転によるエネルギー等各種要因も含めれば、高校物理の範囲だけで簡単には解けないのだが、とにかく2メートルの高さからじゅうたんの上にある重さの物体を落とすとき、どの程度の衝撃が物体に加わるかを考え、その衝撃力と同じ力を自分自身の右手で再現することで、壊れそうかどうかを考えてみた。さらに、もういらなくなったビデオテープを実際に落としてみて、特に壊れたりなどしないことも確認した。
※確かに、筆者がビデオデッキやパソコンを「壊す」ことは、実は多かったから、母親の心配もわからぬではない。というのも、筆者が設定変更、ファイル移動等を行うことにより、母親がその技術についてこられず、母親の目から見て「壊れる」からである。またあんたが壊した、というわけだ。

 その結果を踏まえ、夜になって母親に「2メートルから落としても壊れへん」ともう一度反論すると、母親はむきになった。そこで「2メートルから落とした場合、地上に衝突する瞬間の速度はいくつくらいだと思う?」と尋ねてみたら、母親は即座に次の叫び声をあげたのである。
「教科書どおりにはいかへんねん!!」
 筆者の計算方法には回転による衝撃が含まれていなかったこと、じゅうたんへの衝突時間をかなり適当に見積もったことなど、色々と問題はあったし、筆者の計算は間違っていたかもしれない。だが、ここで触れたい問題はそこではない。
 母親のこの一瞬の反射、彼女が忌々しいものを見るときにする見開いた目つき、上ずっていて聞くに堪えない醜い声は何だったのか、ということである。

 それは明らかに、大衆が学問等の体系的知識に対して日常的に抱いているやっかみであり、嫌悪感そのものであった。彼らは彼らの生活領域があまりにも学問等と無関係でありながら、実際に過去に戻ったとしてもどうせしないくせに「もっと勉強しておけばよかった」とつぶやく類型の性質を持つために、とりわけ討論等の際に、話題が学問等の内容に移行することを拒絶したがる。
 生意気な、すなわち知識を身につけつつある学生に対して「社会に出て通用しない」「経験しなければわかるはずがない」などと言う場合と同様、掲題の名言は、会話領域を大衆的な範疇にのみとどめるための定型句である。

 一方で、「根拠を示せ」という言葉は、これと異なる用いられ方をする。平均的な議論の場においては、相手が自分と同様、学問等の体系的知識を所有していない可能性が高く、「根拠を示す」ことが可能なことは稀である。したがって、「根拠を示せ」と発話し話題をみかけ上高度な領域に移行させることによって、相手の失敗を引き出せる算段がある。
 身の程をわきまえない者たちは、麻雀を統計的に研究し、書籍を出版している筆者との、麻雀に関する議論においてさえ「根拠を示せ」と言い放ってしまい、データを示され黙する。
 名言が通用するのは、ある程度以下の水準の者たちにだけである。しかし、ある程度以下の水準の者たちが大多数を占めるゆえ名言がほとんどの場合有効だから、人々は名言をやめられないのだ。

マニュアル人間

  • うまい 2007-06-25 (月) 06:47:40
    ある言葉で検索したら面白い項目をヒット。せっかくなのでアゲ。
    ここで論じられている内容に異論はありませんが、はじめ凸母は「目障りだ、やめてくれ」と言いたかったのがうまく言えなかったんですよね。つまり、パブリックスペースでやってよいことの許容範囲を超えていたということでは。
    名言は、問題の本質から目をそらす効力を持つようです。
     
  • 2007-06-25 (月) 17:24:46
    イライラしてるのに、昼間に反抗され、夜になってまた同じ話題に理屈っぽく反抗されたら、そりゃ声も上ずりますって(笑)
     
  • M 2007-06-25 (月) 18:40:03
    子供の言っている事を反抗としか捉えられないのは非常に悲しいが。「親の言っている事は正しい」というのは、親が子供より権力的に上位であるという幻想によって成り立っているに過ぎないだろう。

    解らなければ解らないで済むところを、声を上擦らせてまで「あんたは違う」というから、お粗末になるのではないかと。
     

  • とつげき東北 2007-06-25 (月) 19:54:32
    壊したら自己責任で弁償、とするのが正しい教育。決定権をあたえられれば、子供は自分の過失を一定の範囲内にとどめながら、適切な遊びを発明する。ときには試行錯誤しつつ学ぶ。ゲームを禁止してはならない。私の場合のように親を恨むことになる。ゲームしてもいいが、成績が下がればこづかいも減らす、逆なら増やす、というありかたが好ましい。この程度の教育方針に関する勉強は、子供を生む親の義務だ。
     
  • 2007-06-25 (月) 23:41:45
    いや・・・分かるんですけどね・・・
    ここまで言い合いが白熱しちゃうって、すんごいパワフルな親子だなあって、そっちに感心してしまいました。
     
  • うまい 2007-07-01 (日) 16:16:45
    子供に選択肢を与えるあり方が好ましいという考え方には同意。
    もっと正確に言うと、もともと子供が持つ自由な選択肢を親の権力により制限することは好ましくない。親に言われたように生きるのではなく自ら生き方を決定し、そのために必要な知識や技術を自ら習得し、親に依存することなく生きていく意志を持ち、これらを実行できる力を持つこと、つまり「自立した大人になること」のために助力する(※)のが親の義務だ。その意味で(少なくとも結果論において)凸母は親の義務を果たした。
    (※)「助力する」の基本は「邪魔しない」ことと「邪魔させない」こと。
    なお、親の義務を果たすために権力を行使すべき場合があるが、権力行使に際して子供に説明し納得させる必要はない。紹介されているケースにおいて、ビデオテープ投げ遊びをやめさせるべきであるなら、壊れるか壊れないかを問題にしなくてよい。例えば、麻薬に手を出していた場合、「あんた壊れるでしょ!!」とか言う前に、問答無用で没収しやめさせるべきである。

    凸母は「イヤだからやめて欲しかった」のではないでしょうか。そのことを凸母が凸に正しく伝えることができたら、あるいは、凸が凸母の気持ちを察することができたら、「凸母のイヤさの程度」と「凸のやりたさの程度」を冷静に比較し、適切な判断ができたのでないかと思います。情報不足(凸の動作は実際大した問題ではなかったのかもしれないし、壊れるということ以外の問題を孕んでいたのかもしれない)のため、答えは推測できませんが、少なくもこのケースのような物理問題の論争ではなく、やめるかやめないかという問題に対するもう少し効率的な取り組みができたのではないかと思います。
    なお、このような論争をゲームのように行うことが凸家のスタイルであった場合、このコメントの後半部分は無意味ですので取り下げます。失礼しました。
     

  • とつげき東北 2007-07-01 (日) 23:51:38
    イヤだからやめさせられたorやめさせられようとしたことはたくさんありますなぁ。
    テレビ(慢性的に禁止)
    テレビゲーム(小学6年〜永続)
    友達とのテーブルゲーム(麻雀を含み麻雀以外を含む)
    ・小説を読むこと
    ・文章を書くこと(はまりはじめて以降永続)
    ・プログラミング(覚え始めて以降永続)
    ・その他種々の遊び(肉体運動を除く)

    ・その他親に理解できない全ての事柄
     (たとえば大学入学後に思想・哲学を勉強することや、物事を深く研究すること、本を出版すること等もやめさせようとしてきた)

    うちの親は嫉妬深く、自分が楽しめないことを子供が楽しむことを常に嫌がるタイプだったので、何もかもやめさせようとしてきましたね。
    したがって無視したり、それを機に嫌がらせをしてやることが適切な処置です。ただ、許されたのは受験ですね。これはよかった。

    私が大学進学に際して関西方面の大学を避けたのは、親がキライだったからです(現役時・再受験時あわせて)。もし「東北大学」が関西にあったら、東工大に(もしも落ちれば、早稲田に)進学していたでしょうね。
     

  • 2008-01-24 (木) 14:08:07
    テレビ(秋田小町)
    テレビゲーム(秋田小町)
    友達とのテーブルゲーム(日常)
    小説(ゴミ
    文章を書くこと(いやいやながらも
    プログラミング(あれば何でもできる(悪さ的に考えて
    その他の遊び(犯罪
    肉体労働してないとかどんだけ典型的のび太くんなんだよ


     
  • ここまで読んだよ 2009-10-17 (土) 17:58:54
    俺の取り扱いもまさに「教科書通りにはいかない」んだろうなぁ
     
  • ぱんだ009 2011-06-11 (土) 15:19:50
    ガキの頃は俺の親もマジで腐ってたなー、小学生のころなんてなかなかまともに親に逆らえないしね。
    父親は日曜しか家にいなかったからほぼ母親オンリーなんだが。

    テレビ(一日30分、土日は一時間。その他親が教育的に良くない(笑)と認識したものは中学時代でも禁止だったw)
    テレビゲーム(永久的に禁止)

    友達とのテーブルゲーム(これは容認されてた、てかテレビゲームを
    嫌悪してる親だった)

    ・小説を読むこと(図書館から借りた本を大人の読むものだからという基地外じみた理由で強制的に親同伴で返却にいかされる)

    ・こづかいは無し、お年玉も没収。おかげで本当に何も持ってなかったなあ・・。友達がカードとか、いらなくなったコロコロコミックとかくれたりしたけど速効で問い詰められた。「本当にその友達がくれたのかどうか電話して確認してやるからな」とか言われたり、無理やり友達の家に返しに行った時は気色悪くて血の気が引いた。

    ・およそ興味のない習い事ばかりやらされる、最たるものがミニバスだったが
    あまり面白くないと言っても、「一度やることにしたんだから頑張りなさい(親が勝手に申し込んだ)」「体力つけなくてどうすんの?」
    結局は休みに子供が家にいるのが迷惑なだけなのだ。それは、土日に習い事をしてなかったときに、執拗なまでに親が「誰か友達誘って外で遊んで来なさい」と毎週しつこく言いまくっていたことからもわかる。

    それにしてもミニバスに、兄のサッカー少年団時代のそれ用のバックでミニバスに行かされてた時はからかわれて苦痛だった。
    それを親に言って違うバックが欲しいと親に言った時に「私は恥ずかしくない!!」と吐かれた時はさすがに殺意覚えたなあ・・

    たまに喧嘩になっても決まって出る名言が「今まで誰が育ててやったと思ってんだ?」「そんなに嫌ならこの家出てけ!ここは私とお父さんの家だから」←小学生に吐いた言葉である。 

    なにかあるとすぐにヒステリーを起こしてたのは言うまでもないか・・
     

  • ここまで読んだよ 2011-06-12 (日) 19:50:25
    その結果、ぱんだがぱんだの親に似なければ教育の賜物(反面教師的に)
    ぱんだがぱんだ親2世になったなら失敗

    まぁ、その結果、親からの仕送り品を親に黙って(≒親をだまして)転売して儲けるといった大衆から見れば道徳のかけらもない凸のような行動が安易にでれば教育としてはうまくいったということになる
    凸が「教科書通りにいかない」育ち方をしているからこそ大衆視点から見れば難関である国家公務員になれたという考え方も有ろうけどw
     


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Last-modified: 2011-06-12 (日) 19:50:25 (2506d)