とつげき東北

 スポーツの解説等において無分別に用いられる「盛り上げ用語」、または、不運にも、能力を欠いた者がスポーツ等について分析的に語らねばならないという無慈悲な窮地に追いやられた際に、適切な分析をするかわりについつい口にしてしまいがちな言葉(麻雀においても、何ら大きくないアガリに対して「このアガリは大きい!」などとしてよく使われる)。

 例えば野球においては、9回表3−2で、負けている側に1点入って3−3になった場合よりも、むしろ勝っている側に1点入って4−2になった場合や、さらには5−2になった場合に多用される。明らかに間違った俗語である。

 対戦チーム双方の1回あたりの1点得点確率が15%とし、試算してみよう(本論では2点以上取る確率について、厳密には考察しない)。 
 9回を迎えたとき同点であれば、勝率は50%である。表の攻撃で1点リードして裏を迎えれば、勝率は85%程度(実際には残り15%のうち「半分近く」が勝てるので、92.5%と言っても良いが、1点取れたという条件下では次の1点を取れる確率は高い――ランナーが塁に残っている等――と思われると同時に、「波に乗る」ことにより得点率が上がると信ずる人も多いため、85%と書く)となり、勝率が35%も増加する。
 一方、9回表を迎えた段階で1点リードされていた際には、勝率は15%程度であり、同点にして裏を迎えることによって、勝率は30%近く上昇するだろう。
 それに比べ、9回の表を迎えた段階で1点リードした状態ではすでに勝率が85%弱程度あるわけだが、裏を迎えるにあたって2点リードした状態にすることで、勝率が仮に100%まで上昇するとしても、勝率の上昇はわずか15%強にとどまる。

 あらゆるゲームにおいて、「勝利」にもっとも貢献するのは、「勝敗を分ける」近傍での得点(その段階での勝敗確率を大きく変動させる得点)であって、他のいかなる得点でもないことは、これ以上になく明らかである。
 9回裏、ワンアウトから打者が空振り三振に終われば「この1アウトは大きい!」と言うことは(1つのアウトが勝利確率に与える相対的影響という意味において)適切である(得点される確率が激減し、逆転率は「半分」以下になるだろう)が、その種の解説は一般に広まっていないため、正しさよりも大衆受けが優先される。「さあ、あと1人!」といった、ゴミのような「解説」の予想通りの垂れ流しぶりは、知性ある視聴者の顔を赤らめさせずにはおかない。

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  • 9回裏に出てくる抑えの投手が優秀で防御率が低いと、点差が開けば開くほど勝利に近づくから、「明らかに間違ってる」とは言えないと思うんですけど。あと、1点差より、2点差の方が抑えの投手も気が楽だから、比較的落ち着いて投げられるということもあります。 -- 月 2006-06-18 (日) 00:05:53
  • 開けば開くほど勝利に近づくのは、防御率とは関係ない。むしろ防御率が低いほど、よりいっそう上記の論旨どおりになる。月の1文目の「条件」は誤り。逆に、簡単に「3点」とかが入るタイプのゲームであれば、「3点」では逆転されないようになるための「1点」は確かに大きい。2文目については、(議論テク)大衆論法:誤差要因の列挙も参照。そうした定性的誤差要因をあげるなら「2点差の方が、相手がより逆転してやろう、という士気が上がる」ともいえる。(例えば塁にランナーがいるとき、打者がホームランを狙う確率が上がるかもしれない) -- とつげき東北 2006-06-18 (日) 00:23:05
  • ラグビーのように、他の球技に比べて1試合の結果に対する「実力」の占める割合がかなり大きいスポーツでさえ、試合中真顔で「流れ」、「勢い」、「今俺たちの時間」などの言葉が平然と飛び交いますからね。点差と残り時間と地域と相手チームの情報のみによって最善の選択が決まることは明らかであるが、スポーツ界においてはこの当たり前の認識さえ持てない人があまりにも多すぎて泣きそうになる。 -- あーちゃん 2006-06-18 (日) 01:22:28
  • 仮に「流れ」があるとして、「流れなどない!」と言って普段どおりの攻撃(例えば攻撃:守備を60:40の割合でするのが最善であるとして、そのまま)するのが間違っているとしよう。だが、では「攻撃:守備=70:30」にすればよいのだろうか? そうとは言えない。「流れ」によって攻めるべき最善の度合いは、「65:35」かもしれぬ。ことによると、「61:39」かもしれない。70:30にした人が乗ったのは、「流れ」というよりは「調子」だったのだ。仮に「流れ」があるとしても、「上手に流れに乗る」技術は、またそのこととは別であるのだが、「流れ」派はそのあたりには言及しないのが通例である。 -- とつげき東北 2006-06-18 (日) 01:29:48
  • 2文目については分かりました。1文目については分かったような分からないような・・・ところで「あと一人」って、普通、解説の人は言いません。言うのは実況アナウンサー。1点差を抑えのエースが守ってて、ツーアウトで、ランナーが3塁にいるなんて時、素人の観客としては心の中にその言葉しか浮かびません。赤面してる余裕なんてない!(笑) -- 月 2006-06-19 (月) 00:21:05
  • ここまで読んだが 2009-10-17 (土) 06:17:04
    ふーんと思うことはあっても、顔を赤らめるのは凸だけだろ

    それよりも、そのワードを聴くたび顔を赤らめる凸に萌へ
     


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Last-modified: 2010-08-24 (火) 18:40:13 (2709d)