とつげき東北

(書きかけ ver.0.91)

 評論・論説等の文章を読解するための基本的なスキルを、センター試験又は国家公務員採用試験等における国語及び英語の得点方法を題材に紹介する。

「意味」は文脈の中で位置づけられる

「言葉の意味は、その言葉が使用される文脈によって変化する」ということはよく言われることである。言葉に限らず、文章全体が、ある書籍の中の文脈に応じてまったく別の意味になる場合もある。
 これをどの程度実感しているだろうか、またその実感を、試験等の際にどのように戦略的に活かして文章を読んでいるだろうか。
 たとえば「あいつはもう死ね」という一文があるとしよう。この一文が何を意味するのか考える。しかし、この一文だけを見ていても、解釈されるべき「真意」が何であるかは決してわからない。卑劣な犯罪者への怒りの言葉なのか、それとも漫才師によって発せられた黒いギャグなのか。この一文だけを見て、意味を解釈しようとするのは徹底してバカげている。

 たとえば平成16年度のセンター試験国語兇梁茖洩笋量筍欧蓮∨祇部A「『軽やかな』聴衆」という言葉について、聴き手のどのようなありかたをそう呼んでいるのかを問う問題である。これだけ見てもわかるわけがないのは、先ほどの「あいつはもう死ね」の意味がわからなかったことと同じ理由から当然である。
 しかも実は、傍線部Aまでだけを読んだ段階で、この設問対してに確信のある解答を与えることは必ずしも正しくない。(この問題の場合はたまたま解答を導くことができるのだが)その後に続く『軽やかでない』聴衆のあり方についての細かい記述を読むことによって、初めて『軽やか』という語がこの文章全体においてどのように用いられているかが明確になるのである。後に続く文章によっては、設問の答えが左右されてしまう可能性もあるのだ。
(問題については、http://www.dnc.ac.jp/center_exam/16exam/mondai_pdf/16kokugo12_q.pdf

読解するためのスキル

 文章の断片的な一部分の意味は、文章の全体によって規定される。一方で、文章全体の意味はまた、個々の断片的文章の意味によって形成されてもいる。
 全体の意味の概観を理解してから、部分の詳細な意味を理解する、というのが正しい読解の方法である。

 ニーチェは『権力への意志』において「物理学におけるエネルギー保存の法則は、永劫回帰を要請する」という一文を書いているが、これの意味は、ニーチェの思想的背景の大部分を知っていれば、この一文を見るだけで「ああ、またニーチェさんこんなこと言ってるのね」と理解できるが、そうでなければ、いくら「エネルギー保存の法則」とか「永劫回帰」とかという言葉の個別の意味を知っても、この文章で「ニーチェが何を言いたかったのか」のもっともらしい解釈を行うことは不可能である。初めてニーチェを読む人がこの文章に触れたとき、「?」となって進むというのが当然であり、それが正しい。

 この段階でこの文章の意味を必死で考えるのは不適切である。
 特に、入試等の時間的制約が厳しい状態では、わからないものはわからないとして飛ばしていくことが大切である。幸いにして、入試においては、提示された3,000字やそこらの短い文章を読みさえすれば、必ず正しい答えが導けるようにできているので、怖がる必要はない。
 まずは全体の概要を知り、個別を理解していく、という方法を意識することが大切であり、そのためには文章全体を一読しながら傍線部が出てくるたびに問題を少しだけ考え、「明確に誤った選択肢」のみを、「誤っている根拠となる部分」に大きく×印をつけることにより削りつつ、1問30秒程度で進んでいくやり方が適切である。
 その段階で自分の出した答えの自信の程度に応じて、「◎→確認の必要はほぼなし」「○→まずまず正解と確信」「△→かなり怪しいが解答候補」といった記号をつけていく。
 全体を通していったん、問題を読み終える。
 もしも「あと少しで正解がわかる」ような設問があったならば、一度ここでその問題に戻ってみてもよい。全体を読んだあとでは、簡単にわかる場合があるからだ。「あいつはもう死ね」という言葉が、漫才師によって発せられていたということがわかったならば、ギャグだったとわかるように。
 ここまでの過程を経たら、次の問題(次の文章)に移る。

全体をすばやく解き終えること

 センター試験の国語で言えば、すべての文章を少なくとも2回以上は通読できる程度の速度が必要である。1度目に読んで問題を解いた際に、文章中の「どのあたりが設問に関係しているか」はある程度わかる。「もう読まなくてもいい部分」というものが出てくるだろう。そういった部分を飛ばし読みしながらの2回通読を行う(2回目は設問と見比べながら、問われている内容の部分を重点的に読む)。明らかに選択肢と関係ない部分はどんどん飛ばして良い。
 2回目に読んだときには、1回目にはよく意味のわからなかった文章が、驚くほど理解できるようになっているはずだ。「はいはい、さっき言ってたこれのことね」というように。2回目には「難問」を除く設問のすべてを「◎」、少なくとも「○」に仕上げる。もちろん、既に自信がある設問についても「再確認」を行う。このときも1回目と同様に、1つの問題であまり時間をかけすぎないようにすることが大切である。
 2度読み終えたら、最後の仕上げとして、また第一問に戻り、完全に正しいという自信のない設問を中心に、3度目読みでの再確認に時間を回すのだ。

 英語ではこの効果がより大きい。
 そもそも英語は日本人にとって「難しい」のだから、日本語の文章よりも「1読目の理解」が少ない場合が多い。これが2回目、3回目となると、まったく意味のわからなかった単語や文が、「全体での流れの中で考えれば、こういうことを言っているのだな」と理解できてしまうようになる。ことによると、知らない単語の意味さえわかるのである。

 この「早く解いてとにかく全体を終わらせ、2周目、3周目に入る」という方法は、センター試験のみに限ったことでもなければ、国語や英語に限ったことでもない。数学や理科、その他あらゆる「試験」においても重要な方法である。少し考えればわかる、もう少し考えれば答えが絞れるような問題を先に重点的に解くことは、時間をかけて1つの難しい問題を解くことよりも、ずっと得点に結びつきやすいからだ。
※ただし数学や理科は、ある設問の答えが出ないとその先に進めない場合があるので、その場合はさっさと次の問題に進んでしまうこと。また数学は完答による配点が大きい場合が多いので、あまりにもわからない問題に必死に「部分点」を追加するよりは、頑張れば完答できそうな問題や、計算ミスによる大量失点の防止に時間を費やす方が良い場合もある。

文章の流れを予想しながら読む

 論説等であれば、その人が全体としてどういうことを言いたいのかを、小説であれば情景やキャラクターを「想像(予想)」しながら読むべきである。無味乾燥な「問題」としてではなく、「何か主張したいことがあるのだろう」「このキャラは、こういう考えをするのだろう」という風にある程度想像しながら読めば、「難解な文章」が出てきても、だいたいの意味が把握できて飛ばし読むことができる。

 先のセンター試験国語の42ページ、10行目に、
「作曲家にかかわる『神話』はそのような間隙を縫って作品に付着してくる」
という文章がある。
 仮にこの文章の単語等が理解できなくても、「この文章全体は、作曲家の『神話性』と作品との関係について、過去と現代を比較しながら書いていこうとしているものだ」と思っていれば、「まあなんかよくわからんが、『神話』が作品に付くのね」といった程度でサラリと流せる。
 そして次の1文には、実際に『神話』が「構造的に生み出されてくる」ことについて書いてあるわけで、先の「難解な」文章がご丁寧に言い換えられていて(文脈上の意味で言えば、付着してくる=生み出されてくる、であろう)、結局「難解な」文章を理解する必要などなかったこともわかるのだ。

 このように、「だいたいどんなことが言いたいのか」ということをある程度予想・想定しながら読んでいけば、文章の大部分を軽く読み流せるようになってくる。もちろん、完全に見失いそうになったら少し戻って注意深く読むべきだが、設問とあまり関わらない部分については、「だいたいこんなことを言っているのね」程度の読みでかまわない。同じことが後に詳しく書いてあったりすることもある。ちなみに漢文においては、いわゆる「当時の道徳」のようなものがあり、どの文章も、割と似たような主張が入っていたり、立派だとされる人物像が似通っていたりする。いくつか漢文の現代語訳を読んでおくといい。

 文章の予想によって読解速度が向上し、例の「2度読み」「3度読み」ができるようになり、1つあたりの選択肢を選ぶのに費やす時間も長くできる。

読解力その1:まずは単語力。単語の正しい覚え方

 ここまではかなり小手先のテクニックだったが、より実力を高めるには、文章を読んでその意味を把握する力、いわゆる「読解力」をつける必要があるだろう。

 これにはいくつか方法がある。
・単語力を上げる(最重要)
・文章を要約する(重要)
・話題に関する知識を身につける(応用)

 ここでは、単語力をつけるやり方を記述する。

 まず、国語の基本的な単語、英単語、古文単語、漢文単語は覚える必要がある。文章の全体を理解して個別を理解する、と述べたが、個別部分が1つ1つまったくわからなければ全体を理解しようもないからだ。
 英語や古典が苦手な人の大半は、まずもって単語力が圧倒的に不足している。文章の中心(鍵)となる2〜3の単語の意味がまったくわからなければ、文章全体もほとんどわからない、ということになるだろう。
 英語であれば「英単語ターゲット」の1500語程度までを覚えておけば医学部を除く全大学入試に対応可能だろう。古文単語は200語程度、漢文単語は基本的な語を覚えておけばセンター9割安定は容易である。

 覚え方は、英単語を見て、代表的な意味を1つだけ言えれば良い。いくつもの意味を覚える必要はない。それは「文脈に応じて」意味を読み替えるのだ。
 日本語から英単語を思い出す(綴りを書く)ような練習は不要である。手で書いて覚えず、ひたすら英単語を見ながら、英単語を読み、日本語の1つの代表的な意味を読む。
「ディスカバー 発見 ディスカバー 発見 ディスカバー 発見」
といったように口に出して読んで覚える。
 読み方は間違っていてもよい。
「govern」を「ガバーン」と読んでもいいし、「ゴバーン」でも「ゴベルン」でもいい。
「ゴベルン 統治 ゴベルン 統治 ゴベルン 統治」
である。
「統治」という意味がわかれば、文脈によって「支配」になったり、ひょっとすると「管理」とか「政治」とかという意味でも使われるかなぁ、と想像できる。文脈に応じて「まあとにかく支配しとったんだな」程度に理解できれば良いのである。細かく類義語だとか、名詞形だとかが載っているものだが、それも覚えなくて良い。「government」ときたら、それが名詞らしければ「政治」とか「管理」とかだろうし、もしも形容詞だったなら「政治的な」とかだろうとわかるからだ。

 これを、例えば1日で新規の10ページ、繰り返す。
 過去に覚えた部分(特に最近覚えたてのもの)については、毎日のように適時「再試験」して、覚えているかどうか確認する。たまには全体を通したテストをやる。
 何度やっても覚えられない単語や間違いやすい単語が出てくるから、それらのみをノートに書き出して同じ作業を行う。
 この作業を繰り返せば、英単語については充分である。

 国語(現代文)の単語は、ちょうどネットがあるので、ネットで「やや難しい単語が使われている、面白いページ」でも見つけて読んでおけばいい(本ウィキは最適である!)。
 わからない単語が出てきたら「goo 国語辞典」など便利なものがあるので、そのたびごとに覚える。またその際、「まずは文脈から、意味を予想してみる」という練習もいい。自然と文章を「予測読み」できる技術が身に付くだろう。

 古文・漢文については、そもそもさして単語量も多くないので、英単語と同様の方法論で、ある程度覚えておけば対応できる。

読解力その2:文章を要約して全体を把握する力をつける

「その文章が、どういうことを言っているか」を把握することがすばやい読解の鍵になったわけだが、簡潔に文章を要約する練習をすると、「その文章でどこが重要か」といった観点に敏感になる。
 要約といえば国語の時間に手でやらされたが、あれほど堅い要約でなくていい。もちろん「要約せよ」という問題の場合は、もとの文章の表現などをしっかり引用しながら要約せねばならないが、ここで言っている「要約」というのは、もっと気軽に、頭の中で行う「情報の整理」である。

 ここでは実際にセンター試験の論説を「簡単要約」してみるので、参考にされたい。
 (問題:http://www.dnc.ac.jp/center_exam/16exam/mondai_pdf/16kokugo12_q.pdfの問1)

――(以下、やや丁寧な要約)――
 音楽を非日常的なコンサートホールではなく日常生活の場で聴くようになったことは、聴き手の聴き方を根本的に変えた。純粋に鑑賞を目的とした聴衆が集まる特殊な空間の中で作品の中に作者の個性を聴き取り、個性の結晶としての表現を読み取るという集中的・精神的な聴取という行為は、日常化され、散漫で表面的な環境体験になった。
 これは新しいメディアの登場で加速化された。
 オーディオ装置の置いてある場所にゆく必要もなくなり、音楽を環境として持ち歩くことができるようになった。CDは作品の一部を断片的に聴く聴き方を容易にし、作品は作者の個性によって統一された全体ではなくなり、局所的な刺激断片の集合体となった。

 断片的な感覚刺激を求める聴き方が「真面目な聴き方」を駆逐。
 表層的な感覚刺激と戯れる「軽やかな」聴衆の存在が残る。
 音楽文化全体も軽やかになっている。
 20世紀の聴取形態の変化はそんなところだと思うが、本当にそうか?

 作曲家神話の形成から話す。19世紀は大作曲家に関する数多くの「神話」が生まれた。最近の研究で、そういう神話の多くが虚構であったことが明らかになり、「神話」が解体された。
 (具体的なバッハやモーツァルト、ベートーヴェンの肖像画の例)

 神話が19世紀に作られて、聴取形態(聴き方)の変化とともに解体したのは偶然ではない。作品を聴きながら作者の人格や個性を感得し、作曲をした時の作者の心情に思いを馳せるというやり方が<正しい>と19世紀では考えられてきた。ただ音を追うだけの感覚表層の快楽に流された行為は真の鑑賞ではないと考えられてきた。
 ところがここに1つのパラドックスがある。
 作品を純粋に鑑賞するということは、聴き手が作者を離れた作品それ自体に集中するということをも要求するからだ。作者について入念に調べつくさなくても鑑賞が成り立たないわけではないし、実際にそれは学者でもなければ無理だ。

 鑑賞行為は、よけいな知識を排除して、作品に純粋に集中することでなくてはならなかった。だから作者の人格や作曲の状況は、実証的にではなく、鑑賞者の想像力によって補われることにならざるを得ない。これは西洋の近代的な芸術作品の基本的なあり方にかかわる。作者は実在の人間として現実のコンテクスト(作曲や作品を取り巻く文脈)の中で作品を作るが、純粋に鑑賞される対象となるとき、そういった現実のコンテクストから切り離される。聴き手は鑑賞行為の中で想像力によって新たなコンテクストを纏わせるのだ。現実の作曲家などではなく、作品をもとにイメージされた作曲家などが作品というテクストに対するコンテクストとして聴き手にもたらされる。「神話」はそういう風に作品に付く。

 19世紀の「作曲家神話」はこうやってできるのであり、それが19世紀的聴取態度と関係していることがわかるだろう。
 現代の聴取のあり方はそれと対極である。
「軽やかな聴衆」としてせつな的・つまみぐい的に作品とかかわる限り、そして作曲家の人格の所産として精神的に鑑賞しない限り、神話は生み出されない。

 だが、これは事柄の一面に過ぎない。
 なぜなら現代はまた作品というテクストとコンテクストとの別の形のかかわりを生じさせているからである。その一例として映像メディアの存在を挙げることができる。
 レコードやCDが「純粋鑑賞」の原理を推し進めたのに対して、ビデオやLDなどの視覚メディアが普及し、聴覚的な要素だけの従来の音楽メディアがいかに一面的であったかが明らかになってきた。オペラのように視覚的だったものは当然として、純粋な楽器演奏でも音響が視覚映像で与えられることで、異なった印象が生ずる。これは近代的な「純粋鑑賞」に対するアンチテーゼともいえ、コンテクストをも含めたトータルな体験を回復することによって「純粋鑑賞」によって生じる神話を除去する方向にはたらく。
 (その例:熊のような顔のピアニストの繊細な音楽の映像)
 音だけだと「神話」が生じたかもしれないが、映像によって現実のコンテクストが与えられることで、想像力によって別のコンテクストが付加されなくなるのだ。しかし映像はまた別の形で新たな神話を作り出すこともある。映像はその作品にかかわる架空のコンテクストを生み出す。映像のもつ圧倒的なインパクトと、音楽との巧妙な結合で作られるイメージは、このようなコンテクストを生み出すうえで強い。
――(やや丁寧な要約以上)――

――(さらに要約)――
 音楽の聴き方が変わった。
 19世紀:出向いていってコンサートホールで音楽を聴き、作品が作られた状況や作曲家の精神(コンテクスト)について思いを馳せる「軽やかでない」聴き方
 20世紀:音楽の断片化など全体性の喪失→「軽やかに聴く」
 でもそれは本当?
 純粋に(19世紀的に)鑑賞しようとすると、逆にコンテクストの神話が形作られる。20世紀的に鑑賞するとそうはならない。
 映像と一緒に全体を与えることで、いかに「純粋鑑賞」とやらが一面的かがわかる。これにより、神話としてのコンテクストが作られることが防がれていて、「純粋鑑賞」へのアンチテーゼとなっている。でも映像という強烈なインパクトで、新しい神話のコンテクストが作られる面もある。
――(さらに要約以上)――

 ついでに、問題を解いてみる。
「全然違う」というように書いてあるものは、1読目で確実に×でつぶしておく。また、1読目に少し振り返って、いくつかは「○」状態にしておきたい。問3、問4、問5あたりは2周目で解くことになるかもしれない。
【問2】答1
 2は誤り。もう何もかも違う。3は「作者の思想を探して楽しんだり」が19世紀的なので誤り。4は「日常の生活から逃避するために集中的に」が誤り。どっちかといえば19世紀的。5はぱっと見ではわからないかもしれないが、「軽快な旋律を選んで編集」、「日常生活に適度な刺激を与えてくれる効果音として」とまでは本文に書かれていないので誤り。
【問3】答5
 2は誤り。事実から神話が生み出されるのではない。むしろ事実を知らないことによって神話が生まれると書かれている。3は誤り。全然違う。4は誤り。事実から神話が生まれるわけではない。これも1と5が若干迷う。そこで本文に戻り確認すると、1が違う。「ベートーヴェンという作曲家のイメージ自体が」「神話」なのであって、肖像画等から神話が生まれたわけではない。
【問4】答3
「作品を純粋に鑑賞することこそが、さまざまな神話としてのコンテクストが作られてしまう原因となるのに、作品それ自体をそうしたコンテクストと独立に純粋に鑑賞しなければ、純粋な鑑賞とはいえない」というのがここに書かれているパラドクス。2は違う(思想を真面目に取り入れるが嘘)。4も全然。1,3,5はいずれも前半で「神話としてのコンテクストが作られる」ことが書いてある。後半を比較すると5は違う(感受する、というのは神話的方法)。1も違う(作品を表層的に受容する、というのは20世紀的な聴き方であって、純粋に聴くということを意味しない)。
【問5】答2
 まず明らかに違うとわかるのが4(「視覚的な要素を強調することによって」)、5(「現実の作曲家や演奏家の視覚的な情報を与えることで」)。3も怪しい(「視覚的な要素を作品と結びつけることで」、ではなく、1の「視覚的な要素をも含めたトータルな体験を回復することで」の方が適切である)。一方で1は「視覚的な情報の方が聴覚的な情報よりも強いイメージを持つために」という理由が間違い。2はぱっと見、正しい。そこで3のあら捜しをする。「強烈なイメージを利用することで」「『神話』を生み出す」とは書かれていない(「利用」が言いすぎである)。そこで3をダウトとする。
【問6】答4,5
 1を選んだ人は偏差値30台(不真面目になることが必要などと言っていない)。2、3も全然違う(歓迎したり、高く評価したりしていない)。4はどうもそれらしいので保留。5は正しく見える。6は明らかに違う(全然違う話になっている)。

読解力その3:話題に関する知識を身につける

 これは時間があれば対応したいが、無理なら後回しでよい技術である。
 たとえば先のセンター試験の論説のはじめの一文、
【音楽の場が侵すべからざる非日常的な空間であったコンサートホールを離れて日常生活の場へと移動したということは、音楽を日常化させ、聴き手の聴取態度を根本的に変質させた。純粋に鑑賞を目的とした聴衆たちが集まってくる特殊な空間の中で(中略)極度に集中的・精神的な性格を持っていた聴取行為は、日常生活の中に移されることによって、散漫で表面的な環境体験へと形を変える。】
について考えよう。
 おそらくは、普通の高校生等、あるいは教養のない大部分の大人は、この文章を読んでも、「はぁ?」であろう。

 だが例えば本ウィキの内容を理解していれば、この文章が何を意味しようとしているかは、ほぼ的確に解釈できる。
 名言的作品紹介において、筆者が「硫黄島からの手紙」を批評している中で、次のような文章があるではないか。
(以下、当該項目から引用)
【かつて、映画は、観客によって選択的に望まれ、「劇場まで楽しみに観に行く」ものに他ならなかった。したがって、後発であるテレビドラマが「一般受け」のみを考えた低俗な「垂れ流し」の作りで済んだのと異なり、あらかじめ能動的に当該映画を選択する観客に宛てて制作されることができたのである。
 だが、映画が即時にDVDとなり、レンタルにより流通するようになった現代、あるいはインターネット等で各人が映画についてあらゆる情報を共有可能となった現代にあっては、テレビほどではないにせよ、映画に付随していたはずの「能動的に受容される表現」という特権は半ば失われ、それは「受動的な表現媒体」に接近してしまった。】

 これらは、音楽と映画という差はあれど、まったく同じことを言っているのである。
 要約して言えば、
「わざわざしかるべき場所に出向いて、『楽しみにいくぞ』というやり方とは違ったやり方、受動的に、散漫に作品を楽しむ、というやり方が、聴取形式の変化に伴って生まれてきた」
ということなのだ。よって、本ウィキをよく読み理解していた読者なら、上記のいささか「難解な」言い回しの文章も「あ〜あ〜、あの話だな」とスッと入っていけるということだ。

 何も、こうした一致は「偶然」ではない。
 思想的な文脈(センターの論説など)で語られることは、ある意味では「似たり寄ったり」なのである。なぜなら、現代の思想に共通した各種の問題意識があって、その中から個別の問題についての言説が生まれてくるわけだから、「名言」を題材にした本ウィキであろうと、そうでない論説であろうと、根底に流れる基本的な視線というものはおおよそ一致するものだからだ。
 思想・論説的な文章などを読み慣れ、その考え方を身につけておけば、入試等における読解力は飛躍的に高まるだろう。

 もっともこれはやや時間を要することであり、それよりも単語を覚えたり入試的なテクニックを身につける方が得点に直結するので、時間が余っているときに、面白いそれ系のページを見つけて読んでみる、といった程度の対応でも良い。
 繰り返すが、本ウィキは最適である(笑)。

時間配分・点数配分等のテクニック

 試験というものは時間配分が非常に重要になる。
 時間配分の勘は、まずは最初に過去問を解いてみて、上述したような「2度読み、3度読み」がどの程度できるかを計る。
 最初のうちは全然時間が追いつかないものだろうが、「1周目は必ず○○分で終わる」「そのために、現代文は○○分で終わる」などの目標を作ってしまおう。現代文、古文、漢文等ごとに、それに合わせる時間で問題を解く練習をし、時々「過去問1回」をまとめて解く練習をする。その際には各々の問題をやり終わった時間をメモ等しておき、どこで必要以上の時間を取られているかを把握すること。
 センター試験のように形式が例年同じである試験では、実践的な時間配分の練習をしておかなければ非常に不利になる。

 点数配分も重要だ。
 今のセンター試験は英語においてリスニングが導入される等、筆者の頃とずいぶん変わってしまった感があるが、原則として「読解問題」の配点が非常に高いことに変わりはなかろう。国語も同じである。これらで落とすことは「あり得ない」ことでなければならない(とは言いつつも、1問くらいは迷うやつが残ってしまい、なかなか190点は取りがたいものなのだが)。

 国語や英語の読解問題では、正解を導くために、ぱっと見て明らかにわかるタイプの問題と、細かく表現ぶりまで追わなければわからない問題とがある。いずれにせよ確認の際には、「他の選択肢のどこ(どの表現)が誤っているか」を明確にすることが大切である。「誤りの根拠」を必ず探し出し、当該表現部分に線を引いて、解答を確実にすること。センター試験等の読解問題では、「なんとなくこれっぽい」という解答は存在しない。必ず根拠が存在する。

  • もんた 2007-04-28 (土) 23:54:35
    たいていの場合において「文系はバカ」ってのがあてはまる気がしてきた。
     
  • もんた 2007-04-29 (日) 00:08:03
    それと、早慶上智や京大を目指す人が陥りがちなのが「単語教徒化」なんですが
    そこらもしっかりカバーされており安心しました。
     
  • とつげき東北 2007-04-29 (日) 01:22:51
    うぉう、途中まで考えて間違った答えを載せた版で一瞬アップしてしまった……誰も見ていませんように(笑)
     
  • とつげき東北 2007-04-29 (日) 01:41:19
    >もんた
    まあバカの捉え方には色々あるが、文系受験的能力の方が身につけやすいのは確かではあるな。
    おれには社会2科目とか絶望的だけど(笑) だから早慶の文系(社会受験)は「すげー」と思うが、数学受験(社会なし)の国立文系は何やってるのかわからんな・・・

    詳細は→学歴
     

  • まほ公 2007-04-29 (日) 13:11:32
    うお、このセンター俺受けた年のやつだ。
    先にwikiか、せめてテキストコンペやってりゃもうちょっとマシな得点
    だっただろうに(どっちにしろ東大行けるほど点数アップはしないが・・・ちっ)。

    このwikiに乗ってしまうとセンター論説すら高尚な題材を扱う文章に見えてしまうのは
    話題になってる「神話性」に組み込まれているようで気に入らんわ(笑)


    東北大工学部卒で、麻雀本出版して、こんなところでセンター国語攻略書いてる現職国家公務員のほうこそ、何をやってるのかわからん・・・
     

  • 名無し 2007-04-29 (日) 17:56:15
    どうして凸は公務員なのか、という答えがここにありますよね?
     
  • 時間 2007-04-29 (日) 22:20:30
    センター論説は悪い文章じゃないと思うが。
    むしろ東大より難しいセンター古漢対策を聞きたいな(笑)
     
  • とつげき東北 2007-04-30 (月) 03:55:52
    >まほ公
    センター論説は実はけっこう面白いですぜ。ちょうど高校生程度の知識でも読めるレベルのところが抜き出されているわけだし、大学生等には特にお勧めです。

    >時間
    実はセンター古文漢文対策も書きたいのだが、さすがに10年触れてないと完全に忘れてしまって(笑)
    古文は単語を覚えてひたすら過去問解きつつ、解説を見て色々知識ゲット、漢文は文法や基本単語を薄い問題集(過去問系)を解きながらゲット、という程度の対策でした。
    なんていうか、読解力のみでいけます。だから逆にツライ、という人もいそうですが、読解力があれば単語を覚えるだけで国語・英語・古文・漢文全部カバーできるので楽っす。
     

  • 六分儀 2007-05-03 (木) 22:18:04
    数年前、センターの古文の模範解答が(どうやら)間違っていたという痛ましい事件がありました。
    作問委員会の先生であってもたまに間違える(間違いのような気がする選択肢を模範解答にしてしまう)ことがある古文という分野には、他の教科にはない趣きを感じることですよ
     
  • ya 2007-05-25 (金) 09:01:18
    政治経済も単語を中心に覚えていったほうがいいのでしょうか?
     
  • '''' 2007-05-26 (土) 21:15:47
    >ya
    センター試験だけなら単語すらまともに覚えなくてもいい・・・
    単元ごとに教科書読みながら重要単語を拾っていって、
    その単元ごとにセンター形式問題集をやってけば普通に90点はとれる。
    常識問題的なものも多いからもっと楽だけどね。

 

  • 2008-01-24 (木) 13:44:14
    こんな長い文章書いてる暇あったら麻雀やれよ
     
  • '''' 2008-02-07 (木) 11:31:40
    センター国語9割取れました。ありがとう。東北受けます。
     
  • 2009-04-15 (水) 16:50:46
    いいなーこれ・・・こんな項目あったんだ。

    久々にあちこち読んでみました。このwikiなごむわー


     

  • 亡国 2009-04-16 (木) 02:24:07
    月さんオヒサー。
    織姫さまに数年ぶりに再会したトキメキだー。
     
  • 2009-04-16 (木) 14:14:29
    はははどーもどーも(笑)
     
  • [[ ]] 2010-06-02 (水) 10:33:23
    英文量が3割以上増えた今のセンター試験で二度読みするのは苦しい。
    昔の問題は精読型だったので、確かにこの方法で高得点が可能。
     
  • とつげき東北 2010-06-03 (木) 02:30:49
    3割増えても上位や中位の得点率が変化していないのだとすれば、読む速度を3割増しにすれば良いと思われる。
    私が受けていた頃も、「普通の」学力の学生(8割行かないような人)は、2度読みなどできなかったので。
    「(高い得点が求められる)すべての試験は、必ず2度解いてミスをなくす」というのは恒久に成立するんじゃないかなぁ。

    ちなみにこれができなかったのが私が受けた年の上智大学理工学部物理学科の物理。大問12問を60分くらいで解けときた。通常の3倍量だ。
    ほとんど手がつけられなかった問題もあったが、平均点は当然低かったようで「2度解き」できなかったが合格した特例。
    私大や2次であっても、「手つけられねー」ってほど難しい問題等があれば無視して、簡単な問題の取りこぼし防止のため2度解きすべきだと思う。
     

  • かずっち 2010-09-17 (金) 03:25:15
    単語の暗記に関して私と同じ事を仰ってる人をはじめて見つけました。
    分量が増えて二度読みできないとおっしゃってる方は、恐らく速読に対する意識が甘いのではないかと思います。
    その増えたという英語で、私は初めて190越えてから一度も落とした事ありません。
    センターに難しい問題は皆無なのだから、サクサク解いて見直しまで出来る速度を身に付けるのが最も重要な要素かと思います。
     
  • ナノニウム 2011-01-07 (金) 00:14:19
    確かに英語力増強に直結する方法は単語暗記だとこの1年で分かりました。
    後は速読力が何とかなれば二度読みも出来そうです。
    しかし国語が8割安定で9割に届かないのが何ともしがたい。古典さん足引っ張らないでくだされ。単語覚えるから。
    今年は9割取れますように……。
     
  • 2012-10-02 (火) 15:26:11
    ひゃー! コメントしたことさえ忘れてる〜 新鮮…
    「人と発想が違うから、テスト用の一般的な答えができるようにしなさい」と現代文の先生に「定期テスト」の段階で言われちゃうような人って、どうしたらいいんでしょうねえ(^_^;)
     
  • とつげき東北 2012-10-02 (火) 20:15:09
    まあそれ自体は問題かもしれんが、学校のテストなんて全無視でいいと思いますよ。勉強は全部自分でやるもの。
     

コメントは以下の作業を終えてからお願い致します。





重要:ボタンを押すか、手動で「OK!」と入力してからでないと反映されません。
一度入力すればクッキーによって保存され、入力の手間は省けます。


トップ   差分 バックアップ リロード   一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-10-02 (火) 20:15:09 (1847d)